平成30年4月2日よりドローンなどの無人航空機の飛行許可・承認手続きが、従来の書面やメールによる申請だけでなく、オンラインで申請ができるようになりました。
ここでは、このオンライン申請についての概略を解説していきたいと思います。
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導入された背景
一部のドローンをはじめとする無人航空機が、①空港周辺や人または家屋が密集している地域の上空を飛行する場合、②航空法132条の2に定める方法によらない夜間や目視外などの飛行方法によって飛行する場合は、それぞれ前者は、国土交通大臣による「許可」、後者は、国土交通大臣による「承認」が必要になります。
しかし、この一部のドローンをはじめとする無人航空機の飛行許可承認の申請件数は、平成29年を例にあげますと、前年と比べ約1.5倍となっています。
これからわかるように、この許可承認に対する需要は急速に増加しており、今後もさらに増加していくものと考えられています。
申請件数が増加すれば、物理的にも審査側は申請書の記載漏れなどの形式的不備に対応する件数が当然として増えてしまいます。
その不備に関して、審査側が補正の指示をして、申請者がそれに対応してという流れをどうにかしなければ、全体として手続きに時間がかかり、飛行の許可や承認を受けるまでの時間も比例して増加してしまうだろうという状況でした。
そこで、質問に答えていくと、自動的に申請書を作成でき、この申請書に加えて必要な書類も電子的に提出可能で形式的不備がほぼなくなるであろうオンライン申請ができました。
メリット
原則、24時間365日提出が可能
従来の申請方法では、書面での申請やメールでの申請がありますが、前者はもちろん後者においても、押印した申請書(紙書類)を直接窓口に提出したり、郵送提出する必要がありました。
しかし、このオンライン申請では、インターネットが利用できる環境であれば、時と場所を選ばず、原則、保守点検などの時を除き、24時間365日いつでもどこでも、申請書はもちろん一部の提出が必要な資料も電子的に申請(提出)ができるという点がやはり大きなメリットになります。
ただし、申請(提出)はいつでもできるわけですが、申請に対する審査が同様にいつでも対応してくれるものではないことには注意しましょう。
実際に、申請が審査されるのは平日の月~金曜日(祝祭日・年末年始を除く)の各審査担当期間の窓口時間のみです。
窓口時間以降に到達した申請は、翌開庁日以降に審査されることになります。
より簡単に作成可能
オンライン申請は、画面に表示された質問に沿って申請内容を入力していくと、申請の形式的な内容を自動でチェックしてくれます。
質問に答えていくと、申請書が自動で作成されていきますので、申請するのがはじめてというような方でも取り組みやすいですし、従来の申請方法より簡単に申請書を作成できます。
また、申請書を順番に入力していって飛行の詳細の入力画面までいき、飛行の予定場所を入力し、地図を作成するという段階です。
参照という青色のボタンをクリックすると、国土地理院の地図が開きます。
飛行予定地で地図を検索してみれば、まず、申請書の記載内容としては、地図を拡大していくと、その場所が制限表面に当たるかがわかりますし、標高など申請に必要な情報を拾うことができます。
そして、地図作成の点では、飛行範囲、テキスト、飛行範囲以外のエリア、補助者、飛行経路等などの項目を地図上に作図できる状態になっており、地図作成に取りかかれます。
このように、国土地理院の地図を使いやすいようにすぐに呼び出し、使用できるようになった点も簡単に作成しやすくなった所かなと感じます。
ただ、 申請書、添付書類ともに、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前までに不備等がない状態で提出するなどの条件は、その他の申請方法と何ら変わりません。
また、勘違いしないでほしいのが、オンライン申請というと申請に関して取り組みやすいものに変わったことは、前述のとおり間違いではありませんが、申請に対して許可承認を得ることのできることが簡単になるわけではないことです。
申請に際して、ある程度の基礎的な知識を持っている必要があると思いますし、ユーザーとしてドローンの安全な飛行をしていくためにも知識を得ようとすることは大切なことと思います。
過去の許可・承認をベースに申請書を作成可能
今まで他の申請とは違い、初回申請時に登録した個人や法人の情報、機体の情報等の内容を使用して、2回目以降の申請をすることができます。
初回は利用方法もわからない状態もあろうかと思いますので、それなりに大変かもしれませんが、2回目以降は利用方法も理解が進んでいますし、初回申請時に登録した情報を利用できるので、より迅速な申請書の作成が可能になります。
これも電子的な申請ならではのメリットと言えます。
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許可書は電子許可書を選択できる
オンライン申請では、申請書作成時点で許可書を電子許可書にするか書面にするかのいずれかを選択できます。
従来の書面申請はもちろん、メールでの申請においても許可書の原本を受領するためには、申請先の地方航空局または空港事務所に郵送して、それを返送してもらわなければなりませんでした。
それが、オンライン申請において許可書を電子許可書に指定すれば、この郵送をしなくて済むようになります。
具体的には、封筒に宛名を書いて、切手を貼って、返信用封筒を入れて郵便ポストへといった少し面倒な作業がなくなります。
つまり、申請から許可までの全ての手続きをオンラインで完結できてしまうということになります。
こういうことが煩わしいと感じている人には、電子許可書はおすすめです。
電子許可書の場合、実際に飛行させる時点では、電子許可書の署名が本物かを確認できる「鑑文書」と「許可書」(別紙がある場合は、別紙も)を印刷して携行する、あるいは、行政機関から提示を求められるような場合に、視覚的にすぐに示せるのであれば、データの保存されたZIPファイルを携行するだけでも構いません。
データの携行でも構わない所も利便性が向上した点ではないかと思います。
オンラインでできる申請等手続きの種類
許可・承認申請
これは、これまで当投稿記事にて説明してきたとおり、許可承認の手続きはオンライン申請できます。
飛行実績報告
「いつ・どこで・だれが・なにを・どのような目的で・どのように」の「いつ」(日時)や「どこで」(場所)という部分を特定しないで行う申請である包括申請は、「事後に(飛行後に)」日時や場所をはじめとする3ヶ月ごとの飛行実績の報告が求められます。
この飛行実績の報告も申請者IDがあれば、オンライン申請できます。
事故等の情報提供
無人航空機の飛行に関する許可承認を得ている場合に、国土交通省より報告の協力を求められているものです。
誰が、いつ、どこで、どの機体で、どのような事故をおこしてしまったのかという情報が集まることによって、今後のドローン飛行の制度にとって、貴重な情報になります。
国交省のホームページにこれまでの事故等の情報があげられています。
事故を起こさないのが一番ですが、この事故等の情報提供もオンライン申請できるようになり、報告のしやすさという点でしやすくなりましたし、ドローン飛行の安全な運用に協力する意味でも、万が一事故を起こしたときでも報告するよう心がけましょう。
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