お酒を飲んだ後、車を運転する事は法律によって禁じられていますが、お酒を飲んだ後、ドローンをはじめとする無人航空機等を操縦する場合の取扱いはどうなっているのでしょうか?

飲酒運転をめぐる現状

航空会社の有人航空機パイロットの飲酒による逮捕、搭乗時のアルコール検査が不十分なことなどが次々と報道され、飲酒にかかる問題が有人航空機で相次いでいます。

航空機の飲酒運転という問題がクローズアップされてきています。

以下に、有人航空機と無人航空機それぞれ飲酒運転規制について改めて整理してみたいと思います。

有人航空機における規制

航空法は、有人機である旅客機や自家用機などをアルコールや薬などの影響で正常な操縦ができない恐れがある場合は乗務を禁じ、違反者には1年以下の懲役か30万円以下の罰金が科されることになっています。

この懲役と罰金ですが、国土交通省が航空機のパイロットらが酒気帯び操縦した際の罰則強化を検討していて、懲役と罰金の上限を引き上げる方針とのことです。

一部のドローンをはじめとする無人航空機等における規制

飲酒運転に関して有人航空機に関して規制がありますが、無人航空機等には同等の規制が今の所はありません。

また、これまで酒が原因の事故なども確認されていませんが、こうした現状を鑑みて、急速普及が拡大する一部のドローンをはじめとする無人航空機等でも飲酒状態での操縦について、有人航空機の場合と同様の規制が必要だとし、国土交通省は1月28日(2019年)招集の通常国会で航空法改正案の提出がされることになったと報じられました。

海外はどのような対応をしているか

無人航空機の飲酒運転の法規制がアメリカのニュージャージー州ではすでになされています。(2018年1月)

ニュージャージー州では、アルコールの影響下や麻薬効果、幻覚誘発効果、習慣性のある医薬品の影響下にある状態、または血中アルコール濃度が0.08%以上でドローンを操縦することが違法で、違反した場合は最高で禁錮6月、罰金1000ドル(約11万円)が科せられるとのことです。

航空法の目的を考慮

無人航空機等の飲酒運転についての規制は現状ないですが、安全な飛行のため国土交通省によってもとめられているものや許可等に係る基本的な基準においても安全を確保するために必要な体制としてもとめられているものもあります。

国土交通省航空局による「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン」において「アルコール等を摂取した状態では、正常な操縦ができなくなるおそれがありますので、無人航空機を飛行させないでください。」と明記されています。

また、許可・承認に関することですが、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」の許可等に係る基本的な基準 (4-3-1(5))でも「酒精飲料等の影響により、無人航空機を正常に飛行させることができないおそれがある間は、飛行させないこと。」と明記されています。

明確な違反基準や罰則は明記されていませんが、このような内容が明記されていることに加え、航空法自体の規制目的の一つが人や物の安全の確保です。

また、車の飲酒運転の事故も大きな問題となっていますが、ドローンも飲酒操縦して落下させ人や物に追突してしまえば、大惨事になりうることは言うまでもありません。

さらに、前述したように飲酒操縦に関しては、これから有人航空機の場合と同様の規制がなされる流れになってきています。

実際に、前述のように今回の航空法改正案は、飲酒後の操縦を禁じる旨の内容が盛り込まれています。

現状(2019年1月)、法律で規制されてない・罰則がないからというのでなく、 航空法に関わるドローンのユーザとして航空法自体の規制目的の一つが人や物の安全の確保だと十分に理解したうえで操縦するようにしましょう。

 

スポンサードリンク