この空域外の飛行は禁止されていないので許可なしに飛行できるわけですが、この空域内で無人航空機を飛行させるためには、国土交通大臣より許可を得なければなりません。
このために、皆さんが申請して許可を得る必要がある許可制度の根本的な話の一つです。
基本的な所ですが、無人航空機の飛行を禁止している空域を理解していなくて、無許可で飛行してしまうと航空法違反になってしまいます。
航空法132条において、ドローンをはじめとする無人航空機の飛行を禁止している空域があります。
ここでは、その飛行禁止空域がどのようなものなのかを中心に解説していこうと思います。
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飛行の禁止空域は2種類
航空法132条によれば、「飛行の禁止空域」は、
② 前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める「人又は家屋の密集している地域の上空」
の2種類があげられています。
国土交通大臣が許可を出す時に見るポイントとリンク
上記の飛行の禁止空域の話に関連する所で、航空法132条を見ると、国土交通大臣がその飛行により「航空機の航行の安全」並びに「地上及び水上の人及び物件の安全」が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合においては、この限りでないと記載がされています。
つまり、①「航空機の航行の安全」と②「地上及び水上の人及び物件の安全」が確保されていないとドローンをはじめとする無人航空機の飛行の許可は出してはくれないというわけです。
これは、上記の飛行禁止空域の内容とリンクしていることがよくわかると思います。
そのような視点も踏まえて、これからの話しを見ていくと理解しやすいと思います。
飛行禁止空域の解説
以下に示す画像を見ながら、これから解説する内容を確認していくと理解が深まると思いますので、見ながら確認して見てください。
航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域
「航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域」とは、具体的に言うと、①空港周辺の空域と②一定の高度以上の空域ということになります。(上記の画像(A)と(B)にあたります)
それぞれについて、詳しく説明していきます。
空港周辺の空域
次に示す「空港やヘリポート等の周辺の上空の空域」が1種類目の飛行禁止空域となります。
ヘリポートも含む点は注意しましょう。
①空港等の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面
②国土交通大臣の指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面
③(進入表面等がない)飛行場周辺の、上空の空域又は航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域
各「~表面」という用語がありますが、これは空港の「制限表面」という話しです。
制限表面というのは、空港やヘリポート等の周辺において、航空機の安全な離着陸のために制限された高さを超える障害物をないように航空法に基づいて制限された場所です。
要は、制限された高さ(制限高)より上に出る高さの建築物、植栽その他の物件について、これを設置、植栽、留置は禁止されています。
この物件には、アンテナ・避雷針・クレーンなど一時的に設置されるものや看板・電線・電信柱、ドローン、ラジコンなども該当します。
航空機が飛行するような空域に関わる高さのものが一時的でも存在すると、航空機は安全な離着陸できないのはよくわかるかと思います。
したがって、上記の①~③の空域においてドローンを飛行させるためには、国土交通大臣による許可を取得しなくてはなりません。
地表又は水面から150m以上の高さの空域
今度は空港周辺以外の話しになります。空港周辺以外においても、「航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域」は存在します。
それは、簡単に言えば、航空機が飛行している一定の高度以上の空域です。
航空機の最低飛行空域は、高度150m以上の空域であり、自由に無人航空機がその空域を飛行していたら、航空機の航行は安全と言えれるものではありませんし、例えば、航空機と無人航空機が衝突して墜落したら地上及び水上の人及び物件の安全を脅かすことは確実です。
航空法においては、航空機と無人航空機の飛行空域の重複を避けられるようにそれぞれの飛行高度をうまく調整して規制しているわけです。
具体的には、ドローンをはじめとする無人航空機は、地表又は水面から150m未満の高さの空域の飛行なら国土交通大臣の許可は必要ありませんが、地表又は水面から150m以上の高さの空域の飛行であるなら国土交通大臣の許可が必要になるわけです。
ただ、実際には、150m未満の高さの空域の飛行なら何も問題ないかというと、高い空域での飛行は難易度が高いですし、仮に落下した時の人や物への損害は軽いものではありません。申請した高さより低めの飛行を求められることもあるので注意しましょう。
人又は家屋の密集している地域の上空
国勢調査の結果に基づく人口集中地区の上空
こちらは、上記のような航空機の航行の安全ではなく、「地上及び水上の人及び物件の安全」という観点からの規制になります。
具体的に言えば、「人又は家屋の密集している地域の上空」とは、国勢調査の結果に基づいて設定される統計上の地区である「人口集中地区の上空」です。(これは上記の画像(C)にあたります)
なお、この人口集中地区は、英語では「Densely Inhabited District」で、それぞれの単語の頭文字をとり、略して「DID」とも呼ばれます。
人口集中地区の2条件
人口集中地区は文字通り、都市部などの建物がたくさんあって、人が集まっているようなイメージを持たれたかと思います。
実際、東京都などは、ほとんどが人口集中地区ですが、あくまで人口が集中している地域をピックアップしているだけで、こうした都市部のようなイメージとは一致しない場合もあります。
したがって、どのようなものが人口集中地区となるかを正しく理解するには定義を理解することが必要です。
参考までにどのような形で定義づけられているかを具体的に説明していきます。
まず、人口集中地区を定義づける上で、「基本単位区」という言葉の理解が必要になります。
「基本単位区」は、調査員1人が担当する区域で、街路に囲まれた一区画(街区)や世帯数(概ね50世帯程度)を元に設定される単位区(1単位)と定義されています。
以下の2つの条件を両方満たす単位区が人口集中地区です。
①「密度基準」:基本単位区の人口密度が4000人/km2以上の区が市区町村の境界内で互いに隣接
②「規模基準」:①の隣接する基本単位区との合計人口が国政調査時に5000人以上
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人口集中地区の範囲の確認方法
ここでは、具体的に、自分の飛行させる予定の場所が人口集中地区にあたるか確認方法を簡単に説明していきます。
まず、1つ目の方法として国土地理院のHPで確認できます。
国土地理院HPの人口集中地区(DID)はこちらで確認できます。
赤色になっている地域が人口集中地区となります。
PCから閲覧している方は、左でダブルクリックでズームでき、右でダブルクリックで全体を見れるようになります。
あるいは、マウスのホイールを上方向にスクロールするとズームでき、下方向にスクロールすると全体を見れるようになります。
実際に、右でダブルクリックを何度かして少し全体的に見てみると、上記のように東京都はほとんど、大阪や名古屋中心に大きめの人口集中地区があります。(右でダブルクリックをしすぎると、人口集中地区の赤色がなくなってしまうので注意)
その他の地域は、それぞれの都道府県の主要都市の狭い範囲で人口集中地区となっていることがわかります。
したがって、東京都や大阪や名古屋周辺でドローンをはじめとする無人航空機を飛行させるのであれば、許可はほぼ必要といっていいでしょう。
ただ、上記のような都道府県においても人口はそんなに集中してないよと感じる場所もあるかと思います。
そのような場合は、上記の検索窓に、ドローンを飛行させようと思っていてそのように感じられている住所を入力すると、その周辺が人口集中地区かどうか確認するのにちょうどいい縮尺で表示されます。
ドラッグすれば、その縮尺のまま周辺を広範囲に確認できますので、そのようにしてご自身の飛行予定の場所が人口集中地区かどうか確認しましょう。
また、その他の都道府県の主要都市の周辺で飛行させる場合は、当然として、上記の確認方法で人口集中地区どうか十分に確認した上で、許可取得の判断をしていくことになります。
もっと具体的に人口集中地区か知りたい時
まず、政府統計の総合窓口による「地図で見る統計(jSTAT MAP)」を利用すると、上記のものより詳細なわかりやすい地図で確認できます。
※「地図で見る統計(jSTAT MAP)」の人口集中地区(DID)はこちらで確認できます。
上記のようにページを開くと、「ログインする」とのウィンドウが出てきますが、実は「政府統計の総合窓口」のアカウントを持っていなくても利用でき、人口集中地区も確認できます。
ただ、機能の制約があり、アカウントがないとジオコーディング、リッチレポート、取り込んだデータが保存できないので必要であればアカウントを取得しましょう。
行政界<未選択>という所をクリックして、人口集中地区(H27年)という所を選択すると、以下のように人口集中地区が赤で囲まれてその中が赤斜線で示されます。
「国土地理院のHP」の時と同様に左でダブルクリックでズームでき、右でダブルクリックで全体を見れるようになります。
また、左上の検索欄に任意の住所等を入力して検索することで、その住所に地図を移動ができます。
実際に、地図を少しズームしてみました。
ここでお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、実は、「国土地理院のHP」は地図をズームした時に、地図内には主要な公的機関しか把握できません。
しかし、「地図で見る統計(jSTAT MAP)」は、主要な公的機関のみならず、民間のビルなどの建物も人口集中地区内にあるか確認できますので、ドローンをはじめとする無人航空機を飛行させる場所がほぼ確認できるのではないでしょうか。
ただ、実際に、飛行させる場所が人口集中地区に該当するかよくわからず、さらに具体的に知りたい場合は、国交省航空局への問い合わせるのが一番ではないかと思います。
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