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6つの飛行方法

原則、ドローンをはじめとする無人航空機を飛行させる場合には、以下の飛行方法(航空法132条の2)にしたがって、飛行させなければなりません。

 

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上記の画像を左から箇条書きで説明すると、以下のようになります。

① 日中(日出から日没まで)に飛行させること
② 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
③ 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
④ 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
⑤ 爆発物など危険物を輸送しないこと
⑥ 無人航空機から物を投下しないこと

上記の飛行方法に従わないで、無人航空機を飛行させる場合は、国土交通大臣の承認を受けることが必要となります。

ここでは、それぞれの飛行方法について具体的に説明していきます。

①日中に飛行させること

「日中」とは日出から日没までの間ということです。

そして、この「日出から日没までの間」とは、国立天文台が発表する日出の時刻から日の入りの時刻までの間のことになります。

つまり、地域や季節によって、この「日中」にあたる時間が異なってきます。承認を受けなくても、飛行させることができる時間帯には十分に注意しましょう。

「日中」でない、つまり夜間に飛行させるには国土交通大臣の承認が必要です。

夜間という環境での飛行は、無人航空機の位置・姿勢の把握や障害物等周囲の状況も把握が難しくなり、事故の発生に可能性が高まります。

そのために、日中での飛行をするように規制されているわけです。

②目視の範囲内で飛行させること

日中に飛行させることと同様に、無人航空機の位置・姿勢の把握や障害物等周囲の状況も把握が安全な飛行に必要であるので、「目視範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること」も求められます。

ここで、「目視」は具体的に、当該無人航空機を飛行させる方が実際に自身の目で見ることを指し、補助者などの第三者の目によるものは除かれます。

なお、眼鏡やコンタクトレンズを常用する人に関わりますが、無人航空機の飛行の際にも必要に応じて使用することが求められます。この場合も目視に該当します。

しかし、飛行させる方の視野が限定される無人航空機の位置・姿勢の把握や障害物等周囲の状況も把握がしづらい、モニター越しに見たり、カメラや双眼鏡などを通して見ることは、目視に該当しませんので注意しましょう。

③人又は物件との間に30m以上の距離を保って飛行させること

これは、無人航空機の衝突から人または物件を保護するための規制です。

人に該当しない

まず、「人」についてですが、これには、無人航空機を飛行させる人やその関係者は含まれません。

例えば、補助者はもちろん、催し物や競技大会の関係者などその関わりが直接的・間接的を問わず、その飛行に関係する人であれば、「人」にはあたりません。

物件に該当するもの

次に、「物件」はどういうものを言うのかという事ですが、一般的には①車両等②工作物等が該当します。

具体的には、「車両等」は、自動車、鉄道車両、航空機、船舶などといったその中に通常は人が存在するだろういう機器です。

また、「工作物等」は、住居やビルはもちろん工場、電柱、電線、信号機、街頭、鉄塔、橋梁などの建築物やその他の相当の大きさを有するものです。

電柱、電線、信号機も対象になっているので、かなりの広範囲で規制されていることがおわかりいただけると思います。

物件に該当しないもの

なお、土地や自然物は物件に含まれません。

※この「土地」には、田畑だけでなく塗装された土地、鉄道の線路、堤防等であって、土地と一体となっているものが含まれます。また、「自然物」は樹木、雑草といったものことです。

こうした「物件」についても同様に、無人航空機を飛行させる人やその関係者が管理する物件は含まれません。

また、無人航空機が30m以上の距離を保って飛行させることを了承した人が管理する物件も含まれません。了承しているわけだからということです。

30m以上の距離の意味

「30m以上の距離」ですが、これは人又は物件から直線距離で30m以上の距離を保って、無人航空機を飛行させてくださいということです。

具体的には、無人航空機を中心にして30mの球状の範囲には人又は物件がないようにしなければなりません。

 

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④多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと

これは、人であふれる催しの上空で無人航空機を飛行させた場合、仮に故障などで落下してしまえば、地上にいる人の生命・身体に大きな危害を与える可能性が高いので規制されます。

「多数の人が集まる催し」にあたるかは総合的に判断

「多数の人が集まる催し」にあたるかは、「多数の人が集まる」なので、集まる人数・規模で判断だけでなく、「催し」であるので、特定の場所・日時に開催されるものであるのかに加えて、主催者側の意図がそのようなものかも踏まえて総合的に判断されます。

したがって、多数の人が特定の場所・日時に集まっていれば、主催者側の意図を含めた判断によっては「多数の人が集まる催し」にあたる可能性があります。

「多数の人が集まる催し」の具体例

具体例としては、祭礼、縁日、スポーツの試合、運動会、野外コンサート、デモなどがあげられます。

いずれも、多数の人が特定の場所・日時に集まり、主催者側の意図もあるものです。

逆に、多数の人が特定の場所・日時に集まり、主催者側の意図のない単なる人混みや信号待ちのようなものは、該当しないことになります。

⑤危険物を輸送しないこと

危険物とは、火薬類、高圧ガス、引火性液体、可燃性物質類等が該当します。

ご想像のとおり、こうした危険物を輸送中に墜落するなどして漏洩してしまうと、当該危険物が拡散されるとともに機体が爆発おそれがあり、人・物件に大きな被害を与えることになりうるからです。

ただし、危険物でも飛行に必要不可欠であり、飛行中に常に機体と一体となり輸送される物件等は、無人航空機での飛行が許されています。

具体的に言えば、無人航空機での飛行に必要不可欠である電池・燃料、カメラなどに使用される電池、パラシュートなどの安全装備使用のために必要な高圧ガス・火薬類などは、そもそも飛行に必要なもの・機器使用に必要なもの・安全に関わるものなので許容されるというわけです。

⑥物件を投下しないこと

当然、物件を投下した際には、地上の人や物件に危害が及ぶおそれがあります。

それとともに、投下した際には、機体のバランスがうまく取れなくなることが考えられます。無人航空機の航行の安全に影響を与えます。

配達等で「商品を届けて単に置く」のは該当しない

無人航空機で輸送した物件を置く、または設置する行為は物件投下に該当せず、禁止されていないです。

それゆえ、ドローンをはじめとする無人航空機で配達して届け先に「置く」行為は、承認を得ず行えます。

水や農薬の散布は該当する

田畑に無人飛行機で水や農薬を散布する場合は物件投下となります。

物件投下には物だけでなく液体や霧状のものも対象となりますということを押さえておきましょう。

国土交通省令で定める場合

航空法132条の2では、「地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないもの」として国土交通省令で定める場合であれば、国土交通大臣の承認が不要になるという旨の例外を記載しています。

しかし、現在において、国土交通省令でこの例外を定められていませんので、この例外は適用される場面はなく、原則、物件投下に該当するものは申請して承認を得ることが必須となります。

 

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