ドローンと言えば、どのような機体でも航空法によって、その飛行に許可・承認が必要になるわけではありません。

ここでは、飛行させようとしているドローンが航空法の規制対象である「無人航空機」に該当する時に、その飛行に許可・承認が必要となります。

ここでは、「無人航空機」に該当する場合の要件について条件していきます。

具体的には、以下の4つの条件をすべて満たした場合のみが許可・承認が必要となってきます。

mujinkoukuuki

航空法上の「無人航空機」とは

条文の定義

航空法2条22項によれば、

①航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であって②構造上人が乗ることができないもののうち③遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもので、④重量200g以上のものが航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器に該当します。

①「航空機の定義」に該当するか

航空法2条1項によれば、人が乗って「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器」が航空機であると定義しています。

つまり、航空法が適用されるものであることや無人航空機のその名前に「航空機」があることからわかるように、無人航空機たるには、上記の航空法の航空機の定義を満たしたものが、大前提ということになります。

なお、「その他政令で定める機器」ですが、特に定められていないので、さらに絞れば「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船」といったもののみの話しとなります。

②構造上人が乗ることができないもの

一般的に、「構造上人が乗ることができないもの」と言えば、構造上人が乗ることができないような小さな機体です。

しかし、単純に機体の大きさだけで構造上人が乗ることができないものとは判断するものではありません。

無人機であっても、元々が有人機で改造した場合などは、潜在的にも有人機のような構造上人が乗ることができる構造、性能があると判断される可能性があります。

大きさ以外にも、構造、性能といった点から構造上人が乗ることができるかが判断されるということです。

この場合は、無人航空機ではなく、航空法上の「航空機」に該当しうるので注意しましょう。

③「遠隔操作」又は「自動操縦」により飛行させることができるもの

「遠隔操作」とは、ラジコンの操作のように、プロポ(操縦機)で操作(飛行)させることです。

一方、「自動操縦」とは、機器に組まれたプログラムによって、自動的に操縦(飛行)させることです。

具体的には、GPSを用いて、現在の機体の位置や向きの情報を得て、あらかじめ指定した飛行ルートを自律的に飛行する自立飛行が該当します。

ここで、ドローン本体が地上とワイヤー等でつながれているような場合は、飛行範囲が限定されていますし、遠隔操作又は自動操縦をできるとまで言えず、無人航空機とはいえないと思われた方もいらっしゃるかと思います。

しかし、この場合でも、当該ドローンは無人航空機に該当します。

航空法の目的の「航空機の航行の安全」や「人や物件の安全の確保」という観点から見ても、このケースでは、ワイヤーが切れてしまう可能性がある以上、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるものとして無人航空機として規制するものが妥当であると考えられます。

④重量200g以上のもの

航空法を受けた「航空法施行規則」により、無人航空機かの定義から重量200g未満のものを除くと規定されています。

重量200g未満のものは、性能等が限定的であり、狭い範囲内の飛行が主となりますので、航空法の目的の「航空機の航行の安全」や「人や物件の安全の確保」という観点から見ても、被害は大きなものとならないだろうということです。

なお、「重量」に関しては、機器本体のみの重量でなく、機体本体の重量とバッテリーの重量の合計です。

機器本体にプラスする重量はバッテリーのみで、それ以外の付属品の重量は含みません。

航空法による規制を避けるために、この重量がギリギリの199gとなっている機種も販売されています。

また、当然に、ドローンでなくとも、従来からあるラジコンも「重量」以外の無人航空機の定義の要件を満たし、さらに、重量200g以上になってくれば、無人航空機になります。

上記の4要件にあたらない機体でも、従来からの航空法の規制はある

改正前の航空法おいても、ドローンは「模型航空機」にあたり、航空法の規制対象でした。 

この「模型航空機」にあたるものは、「航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」に関してのみ、つまり空港等周辺や一定の高度以上の飛行については国土交通大臣へ通報が必要という従来からの航空法の規制が適用されていました。

具体的には、空港や空港の周辺、航空路内(飛行機が通る空中の経路)で地表または水面から150m以上の空域、及び航空路外で地表または水面から250m以上の空域での飛行は禁止とされていました。

そのような場所で、ドローンをはじめとする「模型航空機」を上記のような空域を飛行するためには、国土交通大臣への通報が必要ということでした。

改正後の航空法においても、「模型航空機」にあたるゴム動力飛行機や重量200g未満のドローン・ラジコンは、無人航空機の定義から外れ、無人航空機の規制は適用されませんが、この従来からの航空法の規制は適用はされますので注意しましょう。

現在、自分がいる場所が「航空路内」か「航空路外」かの判断は難しいです。

特に、「航空路外」と言えば、250m未満までの空域は飛行可能です。

しかし、その範囲は航空路以外の全ての空域で、非常に広範囲なので、「航空路内」
か判断しにくい場所もあろうかと思います。

万が一、「航空路内」であった場合は、150m以上の飛行でも航空法違反になってしまいます。

150m以上の飛行をする事情がない限り、できる限り150m未満で飛行されるのが法律を守る上で安心なのではないかと思います。

 

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