bassokuドローンを飛行させる際の管理法は航空法です。ここでは、ドローン飛行した際の航空法による罰則を解説します。

航空法で規制されている「空域」「飛行方法」

航空法でドローンをはじめとする無人航空機の飛行空域が規制されているのは、以下の2項目です。

① 無人航空機の飛行により「航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるもの」として国土交通省令で定める空域

② 前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める「人又は家屋の密集している地域の上空」
上記の空域で無人航空機を飛行させる場合は、国土交通大臣の許可を受けることが必要です。

「飛行の規制空域」に関して、より詳しい内容はこちらの記事が参考になります。

 

また、航空法で無人航空機の飛行方法が規制されているのは、以下の6項目です。

 

① 日中(日出から日没まで)に飛行させること
② 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
③ 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
④ 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
⑤ 爆発物など危険物を輸送しないこと
⑥ 無人航空機から物を投下しないこと

 

上記の飛行方法に従わないで、無人航空機を飛行させる場合は、国土交通大臣の承認を受けることが必要です。

「規制されている飛行方法」に関して、より詳しい内容はこちらの記事が参考になります。

航空法による罰則

罰則は「50万円以下の罰金刑」

皆さんが一番気になるところかと思いますが、前述しました国土交通大臣の許可や承認なく飛行させ、航空法132条による飛行禁止空域や飛行方法のルールに反した場合に、罰金刑に処されます。

具体的には、禁固以上の刑すなわち刑務所に服役するようなことはなく、最高でも50万円の罰金のみです。

罰金刑でも前科がつく

ここで、「なんだ。懲役刑もないし、そんなに重い刑に処せられないぞ。」と思われた方もいらっしゃるかと思います。

しかし、今一度、確認してもらいたいのが、罰金刑は刑罰であり、刑法でも規定されているということです。

つまり、航空法違反で有罪=前科となります。

本籍地の自治体の戸籍担当課にある「犯罪者名簿」と言う書類に犯歴として記載されてしまいます。

これは刑法上でも規定されているとおり、罰金を納付後、5年間はこの犯罪者名簿に登載されます。

無事に5年が経過するまで前科は消えないことになりますので注意しましょう。

適用されるケース

ドローンをはじめとする無人航空機を飛行させた者について、以下の2つに該当する場合は50万円以下の罰金に処せられます。

①前述した国土交通大臣の許可を得ることなく、航空法132条の飛行禁止空域において無人航空機を飛行させた者

②前述した国土交通大臣の承認を得ることなく、航空法132条各号による飛行方法によらず、無人航空機を飛行させた者

個人だけでなく、法人も罰金刑に処される(両罰規定)

法人の業務に際して、その従業員が無人航空機を操縦し上記の航空法違反をした場合は、従業員個人だけでなく、その法人も50万円以下の罰金を受けることになります。

法人の業務に関すると、個人のみの問題にとどまらないことは覚えておきましょう。これは、罰金刑の特徴であり、その範囲が広いことがわかります。

略式手続による場合がある

略式手続と言われても、どのようなものかわからない方も多いかと思いますので、ここで説明しておきたいと思います。

略式手続とは

要件


略式手続にするために、略式起訴されうる事件は、以下の3つの要件も満たさなければなりません。

①簡易裁判所管轄の事件であること

簡単に言えば、当該事件が、罰金以下の刑にあたる罪及び窃盗や横領など「比較的軽微な罪」の刑事事件であることです。

こうした犯罪は、通常の事件が地方裁判所の管轄であるのと異なり、簡易裁判所の管轄になります。

略式起訴ができる犯罪は、簡易裁判所管轄に該当するような比較的軽微な犯罪ということを押さえておきましょう。

②100万円以下の罰金・科料に相当する事件であること

さらに話しを限定して、上記の要件の「比較的軽微な罪」の刑事事件のうち、「100万円以下の罰金・科料に相当する事件」である必要があります。

罰金の金額の範囲は1万円から1000万円までですので、100万円以下に相当する金額という部分という限定された部分が対象となります。

なお、当然、禁固刑以上の刑(禁固刑・懲役刑・死刑)に相当する事件には略式起訴は適用されないことになります。

③略式起訴について、被疑者の異議がないこと

被疑者が異議なく、罪を認め、略式起訴を認めた時点で有罪が決定します。そのような状況が求められるわけです。

当然、被疑者は異議を申し立てることもできますが、拘束期間が長くなった上に有罪となってしまうこともあります。

しかし、後述するように、略式起訴されると、その時点で被疑者の身柄は釈放されるのでそのことも踏まえて、被疑者としては異議のないかの判断を決めることになります。

 

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手続きの流れ

ここまでの流れで、略式起訴を認め、有罪が決定したら、略式手続に入ります。

大枠の流れで説明すると、通常の刑事手続では、「起訴→裁判→判決」となりますが、この通常の刑事手続うち裁判の手順がない簡略化された手続きである「起訴→判決」を略式手続と言います。

この略式手続にうち、起訴を「略式起訴」、判決を「略式命令」といいます。

具体的には、まず、略式起訴ですが、検察官が「被疑者は罪を認めているので、どれくらいの罰金や科料を納めさせるか決めてください」と簡易裁判所に請求します。

そして、それを受けて簡易裁判所が、略式命令として、裁判を行わずに、法定刑の範囲内で決定した罰金や科料を、いつまでに、いくらの納めるように、「書面」で命じられます。

最後に、罰金や科料を納めることで刑の執行が完了するというところまでが略式手続ということになります。

略式手続は、裁判所の手続きが裁判もなく、刑も書面で命じるなど手続きが簡略化されますし、被疑者にとっても裁判がなく、略式起訴の時点での身柄が釈放され、双方にとって望ましい手続きのように思われます。

しかし、これは上記の要件でわかるように「比較的な軽微な事件」でもさらに限定された一部分しか適用されない手続きであることを押さえておきましょう。

通常の手続きと略式手続による被疑者の身柄の拘束の違い

ここまでの内容をまとめれば、被疑者が事件の罪を認めてしまい、略式起訴されれば、合わせて出る略式命令どおりに罰金や科料を納めることで身柄は釈放されますというのが略式手続です。

ここで、通常の手続きと略式手続による被疑者の身柄の拘束の違いについて説明します。

例えば、ドローンを無許可で飛行させた場合に逮捕されたとします。

逮捕されると、被疑者はそのまま身柄を拘束されるとが思われる方もいらっしゃるかと思います。しかし、それは、通常の起訴による場合です。

検察が裁判所に対し「この被疑者を裁判して判決を出してください」と求めることが、いわゆる通常の起訴になります

通常の起訴であれば、被疑者が拘束されたままですが、略式起訴されると、その時点で、被疑者の身柄は釈放されます。

※正式裁判の場合、逮捕勾留されると起訴までは最大23日間、起訴後にも裁判までに大体1ヶ月、拘束されます。

刑事施設(刑務所・少年刑務所・拘置所)は収容能力を限りあるものです。

そのために、言ってみれば、刑事施設に収監するまでもない「比較的な軽微な事件」でもさらに限定された状況、つまり略式起訴の要件(前述)を満たす場合には、釈放しているわけです。

略式手続きであっても前科はつく

ドローンの飛行に関しての航空法違反は、50万円以下の罰金なので100万円以下です。したがって、略式手続になる場合があります。

略式手続は通常の起訴より軽く考えてしまわれる人もいますが、略式手続による罰金でも前科はついてしまうものなので注意しましょう。

航空法を遵守する

皆さんの中にも、他人がドローンが飛行しているのを見かけたことがあります。

この場合でも、静かな場所であっても音でビックリしますし、街中でもこんな所で飛行させていいのと思われる方が大半だと思います。

カメラが搭載されているドローンもあるわけですから、近隣の住民にとって様々な不安が生じます。

それゆえに、通報されてしまうことも十分に考えられます。この場合、仮に、違法な飛行をしていた場合は罰金刑に処せられます。

ユーザーの方は、ドローンを航空法を遵守して、必要であれば、国土交通大臣の許可を得て飛行させることが何より重要です。

航空法も最低限の理解をして適切に楽しく飛行するようにしましょう。

 

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