無人航空機に該当するドローンの飛行に関する許可・承認に関する申請の種類は、様々なものがあります。
実際に申請をする上で、これらの種類を理解するということは、基本的な部分となります。
ここでは、それぞれの申請について解説していきたいと思います。
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個別申請
私の同業者をはじめ、無人航空機の飛行に関する許可・承認に関する申請の種類を解説する記事で、個別申請あるいは普通申請という申請についてご覧になられたことがある方もいらっしゃるかと思います。
実は、この個別申請や普通申請という名称は、国土交通省のHPに記載されていませんし、正式にはこの名称は存在しないものです。
しかし、この個別申請や普通申請というものは、国土交通省が要求するいわば「原則的な申請」であり、その他の申請の種類を理解する上でも重要なものです。
そこで、当記事においても「個別申請」として、まず、「原則的な申請」を説明していきます。
無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領によれば、この許可・承認制度の目的は、「航空機の航行の安全」「地上及び水上の人及び物件の安全」です。
国土交通省は、きっちり審査し、こうした安全を確保できるかを十分に確認した上で許可・承認をして飛行させたいということになります。
具体的には、①「飛行する前に(事前に)」②「いつ・どこで・だれが・なにを・どのような目的で・どのように」に飛行させるのかを申請することが求められ、こうした内容の申請が「原則的な申請」であり、「個別申請」です。
(飛行する前に、○月○日○時○分にこの場所(この経路)でAさんがこのドローンを空撮の目的で目視外の飛行をさせますなど)
この個別申請は、基本的に「1機体・1経路につき1申請」つまり一個の飛行ごとに申請しなくてはなりません。
つまり、こうした「事前に」、それも「個別に」それぞれの飛行に関する情報を詳細に伝え、審査することで安全を確保するというのが原則的な話でこれが国土交通省の無人航空機の飛行に関するスタンスであるということです。
一括申請
この一個の飛行に関して、複数の事項の許可・承認を申請したい場合があり、多くのケースがそうした申請です。
例えば、「人口集中地区」を「夜間」に「目視外」で飛行させたいという場合です。
人口集中地区の飛行には、国土交通大臣の「許可」が必要で、夜間飛行・目視外飛行では国土交通省の「承認」が必要です。そして、原則、それぞれの許可や承認に申請が必要となります。なお、この場合は、共に申請先は管轄地方航空局長です。
こうした複数の許可・承認を申請したい場合、申請先は同じ場所ですし、複数の申請は必要なく、1度の申請で対応できますが、この申請のことを一括申請といいます。
一括申請は、①複数の許可・承認の申請者がすべて同一であり、②飛行の日時、場所が決まっている、③申請先が同じ複数の申請をまとめて申請する申請方法です。
なお、レアケースでありますが、一個の飛行で(ⅰ)空港周辺の飛行や150m以上の高度の飛行とともに、(ⅱ)人口集中地区の飛行をするといった場合もあります。
この場合は、管轄地方航空局長と管轄空港事務所長が申請先になり、申請先が同じではないので、双方に個別に申請を行わなければなりません。
包括申請
包括申請は例外
個別申請が原則であれば、こちらは例外的な申請です。(とはいっても、その利便性から申請の多くはこの包括申請となっています)
包括申請は、個別申請のうち「いつ・どこで・だれが・なにを・どのような目的で・どのように」の「いつ」(日時)や「どこで」(場所)という部分を特定しないで行う申請です。
原則は、個別申請のように「事前に」「日時・場所を特定した」申請が要求されるのは上記で説明したとおりです。
しかし、そのような申請方法では実状になじまない場合があります。
例えば、空撮会社などが業務を行う際には、お客さんから依頼を受け、原則どおりに「日時・場所」が特定されてから毎回「個別に」申請して空撮しますとなると、空撮会社からするとものすごい手間ですし、業務が成り立ちえないと思います。
また、お客さんからしても依頼しておいても、許可や承認を得られないこともありえなくもないので、とても不安定な状態に置かれることになってしまいます。
そして、現在、申請手数料は無料ですが、前述のように個別申請は、複数の機体を飛行させたい方や多くの経路で飛行させたい方にとって複数の申請をしなくてはならず、私たち行政書士に依頼したら申請数の報酬額も必要になりえます。
ここで、こうした実際のビジネス現場等にうまく対応できる例外的な申請方法が必要となりうるというわけです。
つまり、同一の申請者が「日時や場所を特定しない」で かつ、本来、複数の申請が必要な申請を1度で申請ができるという申請が必要ですが、それが包括申請です。
少し具体的に言えば、同一の申請者が一定期間内に繰り返し飛行する場合、もしくは複数の場所で飛行を行う場合も包括申請できます。
申請する方にとってみれば、個別申請より包括申請の方がいいなと思われたはずです。
しかし、こうした「日時や場所を特定しない」飛行を多くの人が行うような状態では、国土交通省側としては、それらの飛行を管理・監督することは非常に難しくなります。
当然、個別申請や一括申請の時と同じような審査では「航空機の航行の安全」「地上及び水上の人及び物件の安全」の確保はできなくなってしまうので、包括申請の場合は審査が厳しくなり、許可・承認を取得する難易度は高くなります。
また、「事後に(飛行後に)」日時や場所をはじめとする3ヶ月ごとの飛行実績の報告が求められ、それによって個別申請と同様の内容も事後的ではありますが、確認されるということになります。
包括申請の種類
前述のように、「日時や場所を特定しない」申請が包括申請です。この包括申請を審査要領の文言の通りに分類してみれば以下のようになります。
①同一の申請者が一定期間内に反復して飛行を行う場合の申請(日時を特定しない申請)
②同一の申請者が異なる複数の場所で飛行を行う場合の申請(場所を特定しない申請)
③上記の①かつ②の場合の申請(日時も場所も特定しない申請)
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日時を特定しない申請
上記のとおり、同一の申請者が一定の期間において同じ飛行場所で反復して飛行するケースになります。
2018年○月○日△時△分といった飛行の「日時」を特定しない代わりに、例えば、6ヶ月間で9時00分~12時00分などといった飛行の「期間及び時間帯」を示すことになります。
ここでいう「期間」は、原則は3ヶ月以内で申請内容に変更を生ずることなく、継続的に飛行させる場合には1年間を限度に伸ばすことができます。
なお、「反復して」とは、審査要項に具体的な内容の記載はありませんが、どんなに少なくとも「月に1回」以上の飛行は必要かと思います。
場所を特定しない申請
場所を特定しない申請は、①飛行経路が明確であり、その飛行経路が異なる複数の場所である場合、②飛行経路が特定できない場合で、飛行想定範囲(日本全国・~県全域など)を申請する場合です。
①は、飛行経路が異なる複数の場所である場合ではありますが、飛行経路が明確であります。
しかし、このうち、②の飛行経路を特定しない場合は、①とは違い飛行経路が明確でないわけなので、その飛行を管理することは困難な場合であり、このままでは、航空法の目的の「航空機の航行の安全」「人や物件の安全」は十分に確保できません。
そこで、この場合、飛行経路を少しでも特定することが安全面から申請において求められます。
具体的には、申請書において、「特定の場所」「条件」のもとに飛行するということが必要となってきます。
飛行想定範囲を千葉県内とした場合、「特定の場所」とは、その「千葉県内の道路」などと飛行させる場所をさらに特定できる情報となるものをいいます。
「条件」とは、「仮囲いがされている場所」「周辺に第三者の物件がない場所」など、飛行に際して、ユーザー自らが安全面を考慮した内容のことです。
もっとも、許可や承認の内容によって、求められる「条件」の内容は異なってきます。
また、各自治体や公的機関の管理にあるもの(例えば、道路は警察)で飛行させる場合には、そういった機関との事前調整が必要となります。
その際には、こうしたユーザー自らが安全面を考慮し内容である「条件」が重要となるので、許可や承認の内容をしっかり踏まえて、求められる「条件」の内容を考えておくことことがやはり必要です。
なお、この「場所を特定しない申請」では、以前、岐阜県大垣市で開催されたイベントにおいて、菓子撒きドローンが墜落するという事故受けて、催し場上空の飛行の許可承認が取得できません。
しかし、この場合、現在でも、同じ飛行場所、観客位置において、反復して飛させる場合は、1年間の期間を限度に前述した「日時を特定しない包括申請」の方は取得できます。
日時も場所も特定しない申請
日時も場所も特定しない申請は、「日時を特定しない申請」と「場所を特定しない申請」を組み合わせた申請です。
これまでの話からみても、この申請は、いつどこで誰がドローンを飛行しているのか把握することがさらに困難な申請となるのは明らかなものであります。
他の包括申請単体でも許可取得の難易度は高めと言えますが、航空法の目的の「航空機の航行の安全」「人や物件の安全」の十分な確保のため、日時も場所も特定しない申請の場合は、許可取得の難易度がかなり高くなります。
飛行目的もそれなりのものが要求され、飛行目的が「趣味」ではこの日時も場所も特定しない申請をすることはできません。
代行申請
複数の申請者による飛行をとりまとめて行う場合の申請で、それらの飛行をとりまとめる者を代表者として、その代表者による代行によって申請できるというものです。
例えば、法人が業務で複数の従業員に無人航空機であるドローンの飛行させるような場合です。
本来であれば、飛行させる従業員自身が個別に申請すべきところではありますが、法人(代表者)がこの従業員らの申請をとりまとめて申請できるというわけです。
また、無人航空機の飛行の委託を行っている者・企業(委託元。ラジコンクラブ等)が委託先の飛行をとりまとめて申請する場合に、この委託を行っている者・企業に代行して行わせることもできます。
これも代行申請です。
代行申請かどうかは、飛行をとりまとめて申請する者ととりまとめられる本来の申請者との関係性があるかどうかです。
例えば、法人が業務で複数の従業員に無人航空機であるドローンの飛行させるような場合の法人と従業員の関係やラジコンクラブとクラブ員との関係では、その無人航空機の飛行に関してはっきりとした関係性があります。
一方、行政書士に依頼して申請してもらうようなケースは、当該行政書士と本来の申請者とは無人航空機の飛行に関して根本的な関係性ないです。
この場合は、ただの申請代理であり、代行申請ではないです。
更新申請
前回の申請に対して、機体や操縦者等に関する情報は変わらずに、許可・承認期限を更新するという申請が更新申請です。
要は、前回の申請に対して、機体や操縦者等に関する情報は変わりない時に、許可・承認期限が満了したとき、その期限をさらに継続させてくださいとしてする申請のことです。
審査要領に、許可・承認の期限の更新を受けようとする場合には、期間満了の日の40開庁日前から10開庁日前までの間に申請させるようにとの旨が定められました。
変更申請
前回の申請から機体や操縦者に関する情報の変更がない更新申請に対して、許可又は承認の期間内に機体、操縦者、安全管理体制に変更があった場合の申請が変更申請です。
より具体的に言うと、既に受けている許可又は承認の期間内において、「無人航空機の製造者、名称、重量その他の無人航空機を特定するために必要な事項」、「無人航空機の機能及び性能に関する事項」、「無人航空機の飛行経歴並びに無人航空機を飛行させるために必要な知識及び能力に関する事項」又は「無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制に関する事項」の内容の一部を変更し飛行を継続する申請が変更申請です。
この変更申請の場合では、変更がない事項の記載又は資料の添付を省略することができる旨が定められています。
変更がない事項は、その記載又は資料の添付を省略することができるは押さえておきましょう。
ただ、注意しておきたいのが、この変更申請は前回の申請から許可期限については変更がないという点です。
前回の申請から機体や操縦者等に変更があった場合で、さらに前回の申請より許可期限も延長したいとき場合は変更申請ではなく新規申請となります。
変更申請ではないので、上記のような変更がない事項は、その記載又は資料の添付を省略することができるということはできないということになります。
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